077068 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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ball machines <2>

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翌日から揺は彼のアパートメントに通うことになった。

ビョンホンはアパートメントに寝泊りするよう主張したがそれは揺が固辞した。

「あんな恥ずかしい朝・・・嫌だ」それが理由。

とりあえず、彰介の家に寝泊りし、

アパートメントの合い鍵をもらい、朝4時前に出勤する。

軽い朝食を用意し、彼の昼食となる特別メニューのお弁当を作る。

皆で食事をとり、見送ったあと、掃除と洗濯を済ませ、買い物に行き、
夕飯の下ごしらえをする。
彼の帰るコールにあわせて夕食を仕上げ、
片づけをして帰る頃にはもう夜9時になるといった具合だ。

朝、寝ぼけまなこの彼を起こして、

キスをして送り出して、

キスで出迎えて

その日の出来事をみんなで面白おかしく話をする・・そんな毎日。

揺は朝と夜の数十分、彼の傍にいられる幸せをそれなりに楽しんでいた。



「ちょっと下まで送ってくる」

その日も、ビョンホンは揺の肩を抱き、家の鍵を持って外に出た。

「今日も帰っちゃうんだ・・」

「通い妻だからね。帰るわよ。・・・・」

ビョンホンは不満そうな顔をした。

「ごめんね・・。でも、ずっと私がいたらみんな気を使うし。
ベッドも狭いから・・あなた疲れ取れないでしょ。
ゆっくり寝ないと。また痩せたんじゃない?」

揺は心配そうに彼の両頬に手を当てた。

「俺は揺が何にもしなくても傍にいてくれるだけでいいのに・・」

彼の子犬のような瞳が揺を見つめた。

「もう・・そんな顔しないで・・。
だって泊まったって・・壁薄いから・・声も出せないし・・」

揺は口ごもったようにつぶやいた。

「え?何?」

そんなところを意地悪そうに聞き返すビョンホン。

「ううん・・なんでもない。
とにかくゆっくり泊まる気にならないの・・。
そりゃ・・ずっと一緒にいたいけど・・あなただって仕事忙しいでしょ。
私は顔を見て身の回りの手伝いできるだけで充分よ」

「俺は充分じゃない」

「もう・・・」

揺は困ったように微笑むと車のキーを開けた。

「じゃ、帰るね。風邪引くといけないからもう入って」

「うん。じゃ・・・」

ビョンホンはそういうと助手席のドアを開けてそそくさと乗り込んだ。

「ちょっと・・ビョンホンssi・・」

揺も慌てて運転席に乗り込む。

「いまどきはレンタカーでもスモークガラスなんて・・便利だよね」

彼はそういってニヤッと笑うと運転席のシートをゆっくりと倒した。

「え?うそ?本気?」

ダウンタウンの静かな夜・・・路地裏に駐車してある車が揺れているのを不思議に思ったのは野良猫だけだった・・・・。




それから数日後。

昼間、暇をもてあました揺はある日彰介のオフィスを訪れた。

「何だか暇でさぁ~。面白いことない?」

「全く・・人が必死で働いてるのに・・奥様、お気楽ですね」

「ええ。主人がいっぱい稼いでくれますんで。遊んで暮らせますの。
お~ほほほほ」

思い切り芝居がかってそう言いながら座っていた椅子をくるっと回して、
揺はダウンタウンの街並みを眺めた。

「観光も一通り済んじゃったしね。美術館も博物館も行きつくしちゃった。
他にも行きたいところはいっぱいあるんだけど・・どうせなら彼と行きたいしね。」

「ご馳走様です」

彰介はうんざりした顔で言った。

「じゃ・・うちの仕事でも手伝う?」

「うん。いいねぇ~。労働。コピー取りとか何でもいいよ。報酬はランチで」

揺は嬉しそうに笑った。

「全く・・・あ・・そうだ。彼女のアシスタント頼もうかな」

「?」




「え?じゃ、エリザベスはここができたときから働いてるんだ」

二人は大きな荷物の荷造りをしながらいろいろ話し込んだ。

「はい。ここの仕事は楽しいです。日本語も勉強できるし。私日本大好き。

最近はウナさんのおかげで・・韓国も好きです。」

「あ、そう・・それはそれは。ありがとう」

揺はなぜかお礼を言った。

自分の国を好きだといってくれると嬉しいものである。

「揺さんは何で翻訳家なのに・・ここにいるの?仕事?」

「ううん。プライベートで遊びに来てるの」

「じゃあ、ここにいないで遊べばいいのに・・」

「まあ・・そうなんだけど・・一緒に遊ぶ人が仕事で忙しくてね・・」

「じゃあ、遊びに来ても仕方ない。おかしくないですか?」

「ま、そりゃ、おかしいよね・・。いろいろあってね・・日本人はフクザツなのよ」

「フクザツ・・時々わかりません・・でも、揺さんは楽しい?LA」

「うん。すっごく楽しい。きてよかったと思う」

「じゃ、良かった」エリザベスは嬉しそうに笑った。

「うん。I love LA」

「Thank you」

二人は固く握手をした。

「で、この荷物どうするの?」

「明日、飛行機で持って行きます」

「どこに?」

「日本です」

「え?リズ明日日本に行くの?」

「はい。出張です。うちの会社をアピールしていい映画いっぱい持ってきて紹介します。私の仕事です」

「うぁ~凄いね。楽しそうだね」

「はい。楽しいです・・二週間くらい行って来ます。」

「どこ泊まるの?」

「品川のホテル・・あっちのホテル狭いです」

エリザベスはそういうと眉をひそめた。

「ねえ・・『下宿』してみない?」

揺はそういうとにっこりと笑った。


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